2013 年 36 巻 5 号 p. 414b
高IgE症候群は黄色ブドウ球菌を中心とする細胞外寄生細菌による皮膚膿瘍と肺炎,新生児期から発症するアトピー性皮膚炎,血清IgEの高値を主徴とする免疫不全症である.そのうち,1型高IgE症候群はSTAT3分子のdominant negative変異に起因し,特有の顔貌,脊椎の側弯,病的骨折,骨粗鬆症,関節の過伸展,乳歯の脱落遅延などの骨・軟部組織・歯牙の異常を合併する.今回,我々は当院で診断された1型高IgE症候群9例における臨床症状,検査所見,遺伝子解析についての検討を行った.また,multi color flowcytometryによる末梢血リンパ球解析ならびにT細胞・B細胞の新生能を反映するTRECs (T cell receptor excision circles)およびKRECs (kappa-deleting recombination excision circles)の定量などの免疫学的解析を行ったので併せて報告する.