日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P9-01  全身性エリテマトーデスによる急性混迷状態の治療経過中にステロイド精神病を発症した1例
原 亮祐佐久間 裕子有沼 良幸荘 信博谷 名松枝 佑安部 学朗和田 達彦永井 立夫田中 住明廣畑 俊成
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2013 年 36 巻 5 号 p. 417a

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抄録

 19歳女性.2013年2月1日より難治性口内炎に対しPSL 15 mg/日を開始された.2月10日昼寝後より,食べ物を取ろうとしてスプーンを取ってしまう,突然泣き出すなどの異常行動が出現.さらに夕方になると意識障害も出現したため当院受診.髄液検査で蛋白,細胞数の増加を認め髄膜脳炎が疑われ入院した.アシクロビル,デキサメタゾン投与にて意識障害は速やかに改善した.入院時検査にて血球減少,抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体陽性よりSLEと診断した.また髄液中の抗神経細胞抗体1.02 U/ml,抗グルタミン酸受容体抗体0.5 U/mlおよびIL-6 37.1 pg/mlと高値であったことから精神症状はSLEによる急性昏迷状態と診断した.PSL 50 mg/日を開始後より多幸感,幻覚が出現した.発熱も認めたためループス精神病の増悪を疑い腰椎穿刺および脳波施行の後ステロイドパルス施行した.パルス後解熱するもむしろ興奮状態となった.脳波所見は入院時と比較し徐波の改善を認め,髄液抗神経細胞抗体0.63 U/ml,IL-6 1.7 pg/mlと共に低下していたためステロイド精神病と診断した.ステロイドは定型的漸減にとどめ精神症状に対してはリスペリドンにてコントロールした.本症例はループス精神病の治療経過中にステロイド精神病を発症しており,両者は二律背反ではなく異なる機序により発症すると考えられる.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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