日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P9-13  既存治療抵抗性の多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症:GPA)にリツキシマブ(RTX)が奏功した1例
石川 雄一齋藤 和義中山田 真吾山田 彩齋藤 昌大吉成 紘子宮崎 佑介久保 智史福與 俊介園本 格士朗中野 和久山岡 邦宏田中 良哉
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2013 年 36 巻 5 号 p. 423a

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抄録

 症例は66歳女性.2006年腎障害,上気道症状(鼻閉,鼻出血),胸部浸潤影,PR3-ANCA高値よりGPAと診断.PSL投与されるも効果なく,シクロホスファミドパルス6コースを施行され改善.2012年4月よりアザチオプリン併用下でPSL 4 mgまで漸減された.しかし2013年1月,CRP及びPR3-ANCA上昇を認め,ミゾリビン150 mgが追加されたが改善なく,鼻閉・鼻出血の再燃,急激な胸部浸潤影の増大を来したためGPAの再燃と診断した.疾患活動性が高く,重要臓器障害合併を認めるGPAに対しステロイド大量療法(PSL 60 mg)を再開した.しかし,既存治療抵抗例で,かつフローサイトメトリーにてメモリーB細胞の増加と活性化が確認されたことから,RTX(500 mg/weekly)を導入した.RTX 3回投与後,胸部浸潤影および副鼻腔病変は劇的に改善,PR3-ANCAは陰性化,約1カ月でPSL 30 mgまで漸減し得た.以上,RTXは既存治療抵抗性のGPAに対する有効な治療法であり,治療前のリンパ球活性化の評価が治療選択に有用である可能性が考えられた.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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