日本臨床免疫学会会誌
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総説
中枢性及び末梢性免疫寛容におけるAireの働き
花房 崇明
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2014 年 37 巻 3 号 p. 133-138

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抄録
  自己反応性T細胞が胸腺において負の選択(negative selection)によって除去されることで,中枢性免疫寛容は維持され自己免疫疾患の発症は回避されている.Aire(autoimmune regulator)は主に胸腺髄質上皮細胞(mTEC)の核内に発現する転写調節因子である.AireがATF7ip-MBD1複合体など他の転写調節因子と協調することで,mTECが末梢特異抗原(TSA)を発現し,TSAが自己反応性T細胞に抗原提示され,negative selectionが成立する.AireはmTECの分化にも関与しており,mTECはAireの発現消失後もpost-Aire expressing stageを持つことがLineage tracingによって,最近明らかになっている.また胸腺外の二次リンパ組織でもAireを発現するeTAC(extra-thymic Aire expressing cell)がヒトとマウスにおいて同定されている.eTACはAire依存性にmTECとは異なる独自のTSAを発現し,mTECによる中枢性免疫寛容と相補的な末梢性免疫寛容を誘導している.骨髄由来であるeTACはmTECや樹状細胞(DC)とは異なる新規の抗原提示細胞と考えられている.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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