抄録
本邦において関節リウマチ(RA)に対して生物学的製剤が使用されるようになり昨年で早や10年が経過した.生物学的製剤の登場によりそれまでは考えることができなかった劇的な関節炎症状の改善や骨・関節破壊の抑制効果を得ることができるようになった.このRA治療の飛躍的な進歩は「より早期から(window of opportunityと早期診断),明確な治療目標を目指して(Treat to Target(T2T)と寛解),より効果的な治療を(tight control)標準的に行うべき」という概念に基づいたRA診療全体の変革を推し進める大きな要因となった.現在,本邦ではTNF阻害薬,IL-6阻害薬,T細胞選択的共刺激調整薬の合計7剤の生物学的製剤を使用することができる.それぞれの薬剤の実臨床における効果や注意点,さらには病態への影響などに関して種々の膨大な量のエビデンスが国内外より発信され,それらに基づき生物学的製剤治療の最適化が日々刻々と図られている.本講演ではこの1年で報告され,実臨床において注目したいエビデンスに加え,生物学的製剤未治療のRA患者におけるT細胞選択的共刺激調整薬アバタセプトの評価(ABROAD試験)など我々の取り組んでいる研究内容を紹介し,RA治療における生物学的製剤の適正使用や新しい可能性について概説したい.