日本臨床免疫学会会誌
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分子標的治療薬のアニュアルエビデンスレビュー
分子標的治療薬のアニュアルエビデンスレビュー4  消化器疾患に対する生物学的製剤
渡辺 守
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2014 年 37 巻 4 号 p. 292

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抄録
  過去25年間ほとんど変化がなかった炎症性腸疾患に対する内科治療の考え方が,この5年間で劇的に変わった.その変化をもたらしたのは,初めての生物学的製剤である抗TNF-α抗体である.炎症性腸疾患の病態解明が直接的に治療に結びついた結果として,過剰な免疫応答を制御する抗TNF-α抗体が臨床へ登場した.炎症性腸疾患に対する抗TNF-α抗体の治療効果は予想を大きく上回る驚くべきものであり,全世界で汎用されるに至った.抗TNF-α抗体が炎症性腸疾患治療に与えたインパクトは単にその治療効果に止まらなかった.最も大きなインパクトは,「粘膜治癒」効果,即ち潰瘍を治す事が病気の再燃を防ぐ上で大切だという考え方の導入であった.これまでの炎症性腸疾患治療は臨床的効果のみを考えていたが,抗TNF-α抗体はこの考え方を大きく変え,炎症性腸疾患を本当に治すには内視鏡的に良くする事が必要であるという考え方が出てきたのである.これは治療目標に対する劇的な考え方の変化であり,早く強力に治療すれば炎症性腸疾患のnatural historyが変えられ,完全治癒させる可能性があるのではという考え方に繋がっている.現在,炎症性腸疾患に対しては新しい生物学的製剤が凄まじい勢いで開発されており,今後の炎症性腸疾患治療は更なる高い目標になる事が予想され,治癒が期待できる可能性がある疾患である事を理解して戴きたい.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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