日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
ワークショップ
W4-5  腸管T細胞による自己免疫制御
門脇 淳三宅 幸子千葉 麻子佐賀 亮子山村 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 37 巻 4 号 p. 312a

詳細
抄録
  多発性硬化症(MS)の罹患者は日本で増加しており,我々は食習慣・腸管免疫系の変化が重要な要因と推定した.MSは中枢神経(CNS)ミエリン反応性T細胞を主体として発症・病態が変化する自己免疫疾患と考えられているため,MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を自然発症するMOG(Myelin oligodendrocyte glycoprotein)反応性T細胞受容体(2D2-TCR)トランスジェニックマウスを用いて腸管T細胞のCNS自己免疫炎症への影響を調べた.2D2マウス小腸上皮内には多くの2D2-TCR+上皮内リンパ球(IEL)が存在し,2D2-TCRの発現が高い細胞集団(THIGH)と低い集団(TLOW)に区別され,各々末梢抗原誘導性,胸腺抗原誘導性のフェノタイプを有していた.THIGH,TLOWを分離採取し,野生型(C57BL6)マウスへ細胞移入を行い,MOGペプチド免疫によるEAEを誘導して病態を比較すると,TLOW移入群では変化がなかったが,THIGH移入群では,CNSへTHIGHが浸潤し,Lag3などの免疫制御性分子の発現を上昇させ,病態が軽症化することがわかった.THIGHは,in vitroでT細胞の増殖を抑制し,抑制にはLAG3, CTLA-4, TGFβが関与していた.また,THIGHを細胞移入すると同時にLAG3の阻害抗体を投与すると,EAEの抑制効果が消失することが分かった.さらに,関節リウマチモデルであるKBx/NマウスのIELにも同様の制御性フェノタイプを持つIELが存在した.この自己免疫制御能を持つ腸管IEL-T細胞の誘導の変化がMS増加と関連しているかもしれない.
著者関連情報
© 2014 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top