抄録
T細胞は,ヒト白血球抗原(HLA)と結合した抗原をT細胞受容体(TCR)で認識して活性化し,司令塔として免疫系を制御している.関節リウマチ(RA)では,最強の疾患感受性遺伝子がHLAクラスII分子であることから,CD4T細胞が病態形成に深く関わると考えられる.そのため,T細胞はRA治療標的として炎症性サイトカインとともに注目されてきた.
アバタセプトCTLA-4Igは,TCR刺激を受けたT細胞の活性化持続を担う補助刺激分子CD28の機能を阻害し,その結果,T細胞活性化を阻害する.マウスでは疾病予防効果しかないと考えられたが,実際には,RA治療でTNFやIL-6の阻害薬に劣らぬ効果を発揮した.しかも,時間と共に有効性が上がり,安全性に優れる傾向がある.一方,T細胞にIL-17を産生するTh17細胞が同定され,RAを含む自己免疫疾患のマウスモデルで病態形成を担うことが見出された.そのため,抗IL-17抗体がRA治療に優れると思われたが,その期待は裏切られた.これら2つのT細胞標的療法は,図らずも臨床免疫学,ヒト免疫学の重要性を再確認させたといえる.
T細胞は他の免疫疾患でも重要な役割を果たすため,その抑制は膠原病において寛解導入療法の鍵と考えられる.今後,RAにおいて全員寛解を目指す上で重要な治療オプションとなろう.