抄録
敗血症は病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群(SIRS)であり,細菌感染症の全身に波及したもので非常に重篤な状態である.細菌やウイルスなどの感染病原体の初期認識やその後の炎症反応の惹起などの生体防御メカニズムである自然免疫系では,敗血症発症時何らかの免疫機構の異常が起こっていることが考えられる.自然免疫系において最前線で重要な役割を担っている好中球においても感染局所への浸潤や活性酸素種の産生による殺菌などにより感染に対する炎症反応を制御しているが,そのバランスが崩れている可能性がある.我々は治療介入のされていない敗血症患者の末梢血を用いて,好中球に焦点をあてその免疫機構に関連する指標に関して健常者の好中球と同時に解析し,重症度との関連性を検討した.表面抗原としては,好中球の遊走を制御する因子とされるCXCR2,PILRalpha,活性酸素産生の指標とされるFlavocytochrome b558を解析した結果,患者好中球の遊走能・活性酸素産生能に明らかに健常者との差が認められた.刺激物質による活性酸素種の測定でも患者好中球がプライミング状態であり活性酸素産生能が高まっていることも確認された.敗血症発症時に抑制されていると報告されているアポトーシスはAnnexinVにより観察した.これらの解析結果と臨床データとを総合的に解析した結果を報告する.