日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P8-010  自然発症皮膚炎を起こすTmem79 KOマウスは層板顆粒の分泌異常を示す
塩濱 愛子佐々木 貴史久保 亮治川崎 洋山田 健人天谷 雅行
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2014 年 37 巻 4 号 p. 370b

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抄録
  Flaky tailマウスはアトピー性皮膚炎の疾病素因であるフィラグリン遺伝子の機能喪失変異(Flgft)と体毛異常変異(mattedma)を有し,SPF下でも皮膚炎を自然発症する.我々はFlaky tailマウスからmattedmaを分離し,mattedma変異が皮膚炎発症の原因変異であり,Tmem79遺伝子のナンセンス変異(Tmem79ma)であることを同定した.Mattedマウスは自然発生変異体であり,遺伝的背景が均一ではないことから,自然発症皮膚炎の詳細解析のために遺伝的背景がC57BL6であるTmem79ノックアウト(KO)マウスを作製した.Tmem79 KOマウスはMattedマウスと同様にSPF環境下でも4週齢前後から掻破行動を始め,組織像では表皮肥厚と炎症細胞浸潤が観察された.表皮でのTmem79 RNAの発現量はMattedマウスでは野生型と比較して半減していたことに対し,Tmem79 KOマウスではRNAの発現が見られず,Tmem79遺伝子を完全欠損していることが確認できた.さらにTmem79 KOとMattedマウスと同様に表皮におけるTh17経路に関わるサイトカインのmRNA発現量が増加し,さらに層板顆粒から分泌される角質層タンパクの発現異常が観察され,皮膚バリア機能の低下が予想された.以上より,我々はMattedマウスと同様にSPF下で皮膚炎を自然発症し皮膚バリア機能異常を示す単一遺伝子欠損マウスTmem79 KOマウスを確立した.今後はTmem79 KOマウスを用いて皮膚バリア異常と皮膚炎自然発症のメカニズム解明を目指す.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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