日本臨床免疫学会会誌
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原著
抗リン脂質抗体症候群におけるエリア-抗リン脂質抗体測定試薬の臨床的有用性
藤枝 雄一郎志田 玄貴奥 健志坊垣 暁之AMENGUAL Olga堀田 哲也保田 晋助渥美 達也
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2014 年 37 巻 5 号 p. 430-436

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抄録

  抗カルジオリピン抗体(抗CL)-IgG/IgM,抗β2-グリコプロテインI(抗β2GPI)-IgG/IgMは抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断基準で認められた臨床検査であるが,本邦では抗CL-IgMや抗β2GPI-IgG/IgMはルーチン検査として確立していない.抗CL-IgG/IgM,抗β2GPI-IgG/IgM測定キット(Phadia:EliATM)を用いることによるAPSの診断における本邦での有用性を検討した.229例(APS群100例,非APS群129例)の保存血清を用い,EliATM抗CL(CL-IgG,CL-IgM)およびEliATM抗β2GPI(β2-IgG, β2-IgM)を測定した.感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ抗CL-IgG(45%,94%,0.80),抗CL-IgM(20%,94%,0.54),抗β2-IgG(33%,98%,0.88),抗β2-IgM(16%,99%,0.64)であった.APS100例で抗CL-IgG陰性55例のうち,抗CL-IgM,抗β2-IgG,抗β2-IgMのいずれかが陽性である症例は10例であった.複数の抗リン脂質抗体検査を組み合わせることで,APS診断の感度向上が確認された.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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