抗カルジオリピン抗体(抗CL)-IgG/IgM,抗β
2-グリコプロテインI(抗β
2GPI)-IgG/IgMは抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断基準で認められた臨床検査であるが,本邦では抗CL-IgMや抗β
2GPI-IgG/IgMはルーチン検査として確立していない.抗CL-IgG/IgM,抗β
2GPI-IgG/IgM測定キット(Phadia:EliA
TM)を用いることによるAPSの診断における本邦での有用性を検討した.229例(APS群100例,非APS群129例)の保存血清を用い,EliA
TM抗CL(CL-IgG,CL-IgM)およびEliA
TM抗β
2GPI(β
2-IgG, β
2-IgM)を測定した.感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ抗CL-IgG(45%,94%,0.80),抗CL-IgM(20%,94%,0.54),抗β
2-IgG(33%,98%,0.88),抗β
2-IgM(16%,99%,0.64)であった.APS100例で抗CL-IgG陰性55例のうち,抗CL-IgM,抗β
2-IgG,抗β
2-IgMのいずれかが陽性である症例は10例であった.複数の抗リン脂質抗体検査を組み合わせることで,APS診断の感度向上が確認された.
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