日本臨床免疫学会会誌
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総説
原発性免疫不全症におけるRevertant somatic mosaicism
和田 泰三
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2014 年 37 巻 6 号 p. 447-453

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抄録
  遺伝子変異のreversionとは,ある疾患の原因遺伝子において,遺伝子変異が正常の配列に戻るか,あるいはもとの変異を代償するような変異が起こることである.近年,reversionによる体細胞モザイク(revertant somatic mosaicism)の存在が,さまざまな遺伝性疾患で報告されている.原発性免疫不全症においても報告数は増加し,さらに同一症例で異なる複数のreversionが検出される場合も報告され,reversionは決して稀な現象ではないと考えられるようになった.臨床的にreversionが注目されるのは,遺伝子変異の修復されたrevertant細胞が増殖優位性を示し,臨床症状の改善あるいは予想外の変化をもたらす可能性があるためである.またreversionは,異なった細胞系列において遺伝子変異が回復した場合に生体がどのような影響を受けるか解析するよいモデルとなる.本稿では,原発性免疫不全症におけるrevertant somatic mosaicismの最近の知見を概説し,その臨床的意義について論じたい.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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