日本臨床免疫学会会誌
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特集:再生医療の臨床応用
多能性幹細胞のT細胞研究への応用
上田 樹金子 新
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2015 年 38 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
  抗PD-1抗体などを用いたT細胞の賦活化による腫瘍免疫療法が最近注目されており,T細胞を用いた免疫細胞療法においても腫瘍浸潤リンパ球やTCR/CAR(Chimeric Antigen Receptor)導入などによる方法が徐々に成果をみせはじめている.免疫細胞療法の奏功において分化のあまりすすんでいないメモリーフェノタイプの細胞が重要であることが指摘される一方で,患者体内に存在する抗原特異的T細胞は細胞疲弊による機能低下やアポトーシス感受性の増加をきたしているという問題がある.今回我々は細胞疲弊を解除しT細胞を“若返らせる”方法としてiPS細胞を介したT細胞再生に成功した.本稿ではこの新しい技術を紹介するとともに,この技術を用いた免疫細胞治療の今後の可能性について述べたい.
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© 2015 日本臨床免疫学会
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