日本臨床免疫学会会誌
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スポンサードシンポジウム
スポンサードシンポジウム-2 分子標的治療による関節リウマチの制御と生体内免疫機構への影響
山岡 邦宏
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2015 年 38 巻 4 号 p. 257

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抄録

  生物学的製剤(Bio)は異なった分子を特異的に阻害するが,関節リウマチ(RA)に対する炎症制御と骨破壊抑制効果は類似している.あるBioの治療効果が無い,または減弱した場合には他のBioに変更することで再度治療効果が得られることも明らかとなっている.また,長期にわたり寛解を維持できている症例では併用抗リウマチ薬またはBioの減量・中止を考慮することが推奨され,多くの臨床研究が進行中である.最近では,サイトカインにより細胞内で活性化されるJanus kinase(Jak)を阻害してもBioに類似した抗リウマチ効果がみられ,今後は使い分けが大きな課題である.高い抗リウマチ効果を有する複数のBioを長きにわたり我々は使用してきているが,生体内における免疫機構の変化については不明な部分が多い.我々はBio投与中のRA患者における血清タンパクの挙動による治療効果との関連やJak-Statシグナル伝達経路の解析,Jak阻害薬投与下における免疫機構への影響を解析してきた.いずれも類似した抗リウマチ作用を有する薬剤でありながら,それぞれに特有の血清タンパクの挙動や副作用プロファイルが認められている.これらの結果をいかにRA治療に反映させるかにつき議論する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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