日本臨床免疫学会会誌
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学会特別企画
学会特別企画 分子標的治療薬のアニュアルエビデンスレビュー4 がん免疫療法の動向
河上 裕
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2015 年 38 巻 4 号 p. 278

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抄録

  最近,T細胞応答を利用するがん免疫療法が,免疫チェックポイント阻害療法(PD-1/PD-L1阻害,CTLA-4阻害など)と培養T細胞利用養子免疫療法(遺伝子改変抗腫瘍T細胞など)として,従来免疫療法が効く特殊ながんとされた悪性黒色腫や腎がんを超えて,肺がん,胃がん,大腸がん,肝がん,頭頚部がん,膀胱がん,尿路がん,卵巣がん,子宮がん,肉腫,白血病,悪性リンパ腫など多様ながんに対して,進行がんでも持続的な治療効果を示すことが明らかになり,今,企業とアカデミアで多数の臨床試験が実施されている.悪性黒色腫と肺癌では,免疫チェックポイント阻害療法をファーストライン治療に使うことによって奏効率が上がる可能性が示され,アジュバント設定での臨床試験も開始されている.また抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用など,異なる免疫制御ポイントを標的とした薬剤を併用する複合免疫療法による治療効果増強の検討,適切な患者選択を含めた個別化治療構築のためのバイオマーカーの同定も,臨床試験により進められている.本発表では,最新のがん免疫療法の臨床試験結果を紹介し,がん免疫療法の現状と今後の展望を議論したい.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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