日本臨床免疫学会会誌
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学会特別企画
学会特別企画 分子標的治療薬のアニュアルエビデンスレビュー3 皮膚科領域の分子標的治療薬:Update
藤本 学
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2015 年 38 巻 4 号 p. 277

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抄録

  乾癬は,皮膚科領域のみならず,炎症性疾患の分子標的薬治療におけるフロントランナーの一つとして,種々の治療薬が登場している.本邦においては,これまでに使用されている抗TNF抗体(インフリキシマブ,アダリムマブ),抗IL-12/23 p40抗体(ウステキヌマブ)に加えて,今年になって抗IL-17抗体(セクキヌマブ)が承認された.また,抗IL-23 p19抗体や抗IL-17受容体抗体などの他の生物学的製剤,さらに低分子治療薬も開発が進んでいる.乾癬以外では,アトピー性皮膚炎においても新規の薬剤開発が進められている.一方,腫瘍領域においては,悪性黒色腫がこちらもフロントランナーとして,免疫チェックポイント阻害療法が開始され,大きな注目を集めている.抗PD-1抗体(ニボルマブ)に加えて,今年になって抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)が承認された.また,低分子のBRAF阻害薬も用いられるようになっている.これらの免疫チェックポイント阻害薬では,有害事象として高率に自己免疫症状をきたすため,そのマネージメントも重要な課題となっている.本講演においては,今年1年間の変化を中心に皮膚科を取り巻く分子標的治療薬の現況についてレビューしたい.

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