日本臨床免疫学会会誌
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WS2-4 自己免疫疾患の中枢神経病変
廣畑 俊成
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2015 年 38 巻 4 号 p. 288b

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抄録
  全身性エリテマトーデス(SLE)は代表的な自己免疫疾患であり,様々な中枢神経病変を生じる.これには,局所病変を主徴とするneurologic syndromesと高次脳機能異常を主徴とするdiffuse psychiatric/neuropsychological syndromesの2があり,後者は従来“ループス精神病”と呼ばれてきた.近年ループス精神病の病態形成において注目を集めているのが,N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体に対する自己抗体である.NR2AとNR2Bに共通するエピトープに対する抗体(抗NR2抗体をマウスの脳に投与すると神経細胞がアポトーシスを起こす.ヒトのループス精神病においても髄液中の抗NR2抗体が病態形成に関与している.一方,抗Sm抗体が神経細胞と反応し,ループス精神病の患者の髄液中で上昇していることも示された.これらの自己抗体の髄液中での上昇は中枢神経内での産生の亢進に起因するのではなく,脳血液関門の障害による血中からの流入の増加による事が証明されている.今後,脳血液関門の障害がいかなる機序で起るのかについて検討してゆくことが病態解明と新たな治療ターゲットの同定のために必要である.一方,neurologic syndromesの病態については,抗リン脂質抗体による血管障害以外についてはよくわかっていない.最近,横断性脊髄炎を初めとしたいくつかの症状について,血管炎が関与する可能性が示唆されている.
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© 2015 日本臨床免疫学会
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