2023 年 38 巻 2 号 p. 144-149
〔目的〕非麻痺側上肢,麻痺側上肢の順に感覚弁別課題を行うことで,麻痺側上肢の痛みを軽減できた症例について報告する.〔対象と方法〕左脳出血発症から半年後,安静時から右上肢の痛みを訴える40代女性である.アロディニア等が認められ,痛みの原因を複合性局所疼痛症候群type 1と判断した.治療として,硬さ,表面凹凸,大きさの異なるボールを使った触覚識別課題と温度の異なる水を使った温冷覚識別課題を行った.期間は毎日30分間を1週間実施した.先に非麻痺側上肢を用いた感覚弁別課題を実施後に,麻痺側上肢を用いた感覚弁別課題を実施した.〔結果〕麻痺側上肢のみと比較し,弁別課題の正答率が向上した.介入1週間で右上肢の安静時の痛みが軽減した.〔結語〕麻痺側上肢のみの感覚弁別課題が困難な場合は,非麻痺側上肢も用いた感覚弁別課題が有効である場合があることが示唆された.