2015 年 38 巻 4 号 p. 296
有胎盤哺乳類は進化の過程で、子宮内でsemi-allograftを許容する免疫学的トレランス機構を獲得した。一方、母子間で微量の血液が混ざるためmicrochimerismが生じ、自己免疫疾患のリスクを背負うことになった。また最近では生物製剤の使用により、自己免疫疾患をコントロールできるようになったため、女性が妊娠を望むようになってきている。このような背景にあるため、自己免疫合併妊娠を治療する機会が増えてきたが、産婦人科医も内科医も、どのように対応したら良いか判らない状況にある。抗TNFα製剤の妊娠時の使用に対する安全性や出産後の新生児への注意事項なども判明しつつある。本演題では妊娠時の免疫系の特徴をレビューした後に、自己免疫疾患合併妊娠の対応についても紹介したい。本演題により、1人でも多くの自己免疫疾患合併女性が健児を得て欲しいと熱望している.