日本臨床免疫学会会誌
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ランチタイム教育講演
ランチタイム教育講演1 炎症性腸疾患の発症機構の解明をめざして
竹田 潔
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2015 年 38 巻 4 号 p. 295

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抄録

  近年患者数が急増しているクローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は、我々宿主の遺伝的素因に腸内環境の変化が相まって発症する疾患であり、そのためにその詳細な発症メカニズムが明らかになっていない難病である。炎症腸疾患の病態解明のため、これまで様々な腸炎モデルマウスが作成されるとともに、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によりヒト炎症性腸疾患患者の疾患感受性遺伝子座が同定され、様々な免疫関連遺伝子が炎症性腸疾患の発症に関与していることが明らかになってきている。腸管には腸内細菌が存在していて、腸管免疫系の発達に深く関与していること、炎症性腸疾患の患者で腸内細菌叢の変化が見られることなどが明らかになってきている。実際、いくつもの腸炎モデルマウスで、腸内細菌依存性に炎症が発症することが証明されている。通常、腸内細菌と免疫系は、腸管上皮により隔離されていて接触することはないと考えられている。しかしながら、腸管上皮による腸内細菌と免疫系の隔離メカニズムは明らかになっていない。本講演では、腸管上皮による炎症抑制メカニズムも含めて、最新知見を紹介したい。

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© 2015 日本臨床免疫学会
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