日本臨床免疫学会会誌
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スイーツセミナー
スイーツセミナー2 いま注目されるTNF阻害薬の新たなエビデンス~セルトリズマブペゴルの臨床的有用性について~
藤井 隆夫
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2015 年 38 巻 4 号 p. 303

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抄録

  関節リウマチ(RA)のTNF阻害薬には抗体製剤,レセプター製剤,ペグ化製剤があり,それらの臨床的有用性は微妙に異なる.はじめのTNF阻害薬が無効であっても2剤目が有効であることはよく経験する.この違いには,細胞傷害性や血中の製剤濃度(患者TNF-αを完全に中和できるか),また免疫原性などが関連すると考えられる.一般に抗体製剤はTreatment Holiday達成を考える上では有利であり,レセプター製剤はその免疫原性の低さから継続率が高い.ペグ化製剤であるセルトリズマブペゴル(CZP)は,loading doseが使用でき,投与1週後の速やかな臨床的有効性に加え,高疾患活動性のRAでは十分なTNF-α阻害効果が得られると考えられる.また最近発表された国内第III相試験(C-OPERA試験)ではメトトレキサート(MTX)ナイーブで予後不良因子を有するRA患者(抗CCP抗体高力価陽性)に対して高用量MTX単剤療法とCZP併用療法の24週および52週の臨床的評価が報告されている.特筆すべきはCZP群において,その有効性がベースラインのMMP-3,DAS28,mTSS,HAQ-DIの高い症例ほど明確なこと,労働生産性の有意な改善が認められること,さらにCZPの免疫原性が比較的少なかったことであろう.TNF阻害薬はどれも同じではなく,RA専門医は患者の状況に合わせ,適切な治療薬を選ぶよう工夫する必要がある.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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