日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-006 一次性シェーグレン症候群(pSS)患者末梢血単球におけるBAFF受容体(BR3)発現亢進はIL-6を介してB細胞の機能異常を誘導する
吉本 桂子石岡 江梨子西川 あゆみ鈴木 勝也竹内 勤
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2015 年 38 巻 4 号 p. 311b

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抄録

  【背景・目的】我々はこれまで一次性シェーグレン症候群(pSS)患者末梢血単球ではBAFF受容体(BR3)の発現が健常人と比較して有意に亢進しており,単球でのBR3陽性率は患者血清IgG値と正の相関を示すことを明らかにした.そこで本研究ではpSS患者末梢血単球でのBR3発現亢進が関与するB細胞からのIgG産生機序の解明を試みた.【方法】pSS患者および健常人末梢血から単球を単離し,同一検体の末梢血B細胞とBAFF存在下で共培養し,培養上清中のIgG量をELISA法を用いて定量した.B細胞表面抗原およびBR3発現解析はFACS法を用いた.【結果・考察】末梢血単球とB細胞をBAFF存在下で共培養した場合,pSS患者細胞からのIgG産生量は健常人と比較して有意に高値であった.患者末梢血単球とB細胞をtranswell insertsを用いてBAFF存在下で共培養した場合も同様にIgG産生亢進は認められ,抗sIL-6R抗体はこのIgG産生を抑制することが明らかとなった.さら患者細胞を用いた本培養系ではCD38highIgDlowCD27lowのB細胞分画が増加していることが明らかとなり抗sIL-6R抗体はそれを抑制する傾向にあった.以上の結果からBR3が発現亢進したpSS患者末梢血単球はBAFFによりIL-6産生を亢進しB細胞の分化にも影響を与えIgG産生機構に寄与していることが示唆された.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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