日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-005 CXCR4が関節リウマチのHLA-DRB1遺伝型と疾患活動性とを結びつける
永渕 泰雄庄田 宏文住友 秀次仲地 真一郎加藤 里佳土田 優美土屋 遙香櫻井 恵一花田 徳大立石 晶子神田 浩子藤尾 圭志山本 一彦
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2015 年 38 巻 4 号 p. 311a

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抄録

  【背景】関節リウマチ(RA)の最大のリスク遺伝子はHLA-DRB1である.RA感受性HLA-DRB1遺伝子の共通アミノ酸配列はshared epitope(SE)と呼ばれるが,そのリンパ球サブセットに与える影響は不明である.【方法】計110名の健常人(HD)及びHLA-DRB1の遺伝子型をタイピングした91名のRA患者を対象とした.末梢血単核球のフローサイトメトリーによる24サブセットの免疫細胞タイピング,HLA-DRB1発現定量解析,CD4陽性T細胞でのCXCR4発現解析,マルチプレックスサイトカイン解析を行った.RA患者の疾患活動性指標DAS28や抗CCP抗体値を収集し関連を検討した.【結果】末梢血のCD4陽性メモリーT細胞CXCR4発現細胞比率がDAS28や抗CCP抗体値と相関を示したが,Th1, Th17にはそのような相関を認めなかった.SE陽性RA患者では,健常人やSE陰性群と比較して有意なCXCR4発現上昇を認めた.CD4陽性メモリーT細胞のCXCR4発現はB細胞上のHLA-DR定量値と正の相関を認め,in vitroの機能解析ではIL-21や抗原提示細胞上のHLA-DRとCXCR4発現の関連が示された.更にCXCR4の発現上昇を認める症例ではCTLA4-Igの有効性がより高く治療反応性とも関連することが示された.【結論】関節リウマチ患者の末梢血CD4陽性メモリーT細胞のCXCR4発現上昇は,CD4陽性メモリーT細胞の関節への遊走能上昇によって,遺伝因子であるSEと臨床的な疾患活動性及び抗CCP抗体とを結びつける可能性が示唆された.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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