2015 年 38 巻 4 号 p. 311a
【背景】関節リウマチ(RA)の最大のリスク遺伝子はHLA-DRB1である.RA感受性HLA-DRB1遺伝子の共通アミノ酸配列はshared epitope(SE)と呼ばれるが,そのリンパ球サブセットに与える影響は不明である.【方法】計110名の健常人(HD)及びHLA-DRB1の遺伝子型をタイピングした91名のRA患者を対象とした.末梢血単核球のフローサイトメトリーによる24サブセットの免疫細胞タイピング,HLA-DRB1発現定量解析,CD4陽性T細胞でのCXCR4発現解析,マルチプレックスサイトカイン解析を行った.RA患者の疾患活動性指標DAS28や抗CCP抗体値を収集し関連を検討した.【結果】末梢血のCD4陽性メモリーT細胞CXCR4発現細胞比率がDAS28や抗CCP抗体値と相関を示したが,Th1, Th17にはそのような相関を認めなかった.SE陽性RA患者では,健常人やSE陰性群と比較して有意なCXCR4発現上昇を認めた.CD4陽性メモリーT細胞のCXCR4発現はB細胞上のHLA-DR定量値と正の相関を認め,in vitroの機能解析ではIL-21や抗原提示細胞上のHLA-DRとCXCR4発現の関連が示された.更にCXCR4の発現上昇を認める症例ではCTLA4-Igの有効性がより高く治療反応性とも関連することが示された.【結論】関節リウマチ患者の末梢血CD4陽性メモリーT細胞のCXCR4発現上昇は,CD4陽性メモリーT細胞の関節への遊走能上昇によって,遺伝因子であるSEと臨床的な疾患活動性及び抗CCP抗体とを結びつける可能性が示唆された.