日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-017 炎症性サイトカインはTET3依存性DNA脱メチル化を介し滑膜細胞に攻撃的表現型を付与する
河邊 明男中野 和久山形 薫中山田 真吾田中 良哉
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2015 年 38 巻 4 号 p. 317a

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抄録

  【背景・目的】RAでは線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)が骨軟骨破壊の中心を担うが,RA由来FLS特有のDNAメチル化プロファイルは攻撃的表現型と関連する.今回,最近DNA脱メチル化酵素として同定されたTetファミリーの調節における炎症の関与を評価した.【方法】関節手術で得た患者由来滑膜とFLSを4~6継代で使用.Tet1-3発現をqPCR,WB,免疫染色で,5hmCの発現をDot blotで評価した.siRNAでTETノックダウン後にTNFで96時間刺激し,各種メディエーター分泌と表面抗原の発現,細胞移動度を評価した.【結果】RA滑膜組織ではOAとの比較で強いTet3発現を認めた.FLSにおいて,炎症性サイトカイン(TNF,IL-1L-6,IL-17等)はDNAメチル化酵素(DNMT)遺伝子発現を低下させた一方で,Tet3のmRNAおよび蛋白発現を増加し,5hmC発現を促進した.さらに,TET3 siRNAにより,TNF依存性のCCL2産生,ICAM-1発現,浸潤能等はほぼ完全に阻害された.【考察】炎症性サイトカインによる慢性刺激はDNMT発現低下による受動的脱メチル化だけでなく,Tet3の発現増加による能動的脱メチル化も促進することが明らかになり,滑膜炎症の持続はエピジェネティック異常を誘導し,FLSの攻撃的表現型を付与することで病態の悪化をもたらすことが示唆された.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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