日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P3-001 関節リウマチ(RA)患者における血中Peptidylarginine deiminase 4(PAD4)濃度と抗PAD4抗体の病因的意義
梅田 直人松本 功井上 明日香田中 勇希倉島 悠子川口 星美江辺 広志近藤 裕也坪井 洋人住田 孝之
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2015 年 38 巻 4 号 p. 324a

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抄録

  【目的】RA患者における血中PAD4濃度と抗PAD4抗体の病因的意義を明らかにする.【方法】1)RA 148例,SLE 36例,SS 37例,健常人(HC)40例の血清,血漿を用いてPAD4濃度をELISA法で測定した.2)1)の検体に関して抗PAD4抗体をELISA法で測定した.3)RA患者においてACPA(anti citrullinated peptide antibody)である抗CCG-2抗体,抗CCG-7抗体,抗CEP-1抗体,抗CCP抗体価をELISA法で測定し,血中PAD4濃度,抗PAD4抗体と比較した.【結果】1)平均PAD4濃度(U/ml)は,RA(84.8),SLE(30.4),SS(81.9),HC(46.6)で,RAおよびSSがSLE,HCに比べて有意に高値であった.2)抗PAD4抗体の陽性率は,RA(29.7%)においてSLE(0%),SS(0%),HC(0%)より有意に高値であった.抗PAD4抗体陽性RA群のPAD4濃度(20.7U/ml)は,陰性群(111.9U/ml)より有意に低値であった.3)PAD4濃度と各ACPAの抗体価には有意な相関はなかった.しかし,抗PAD4抗体陽性群では抗CCG-2,7,CEP-1,CCP抗体の抗体価が陰性群に比して有意に高値であった.【結論】RA患者では,血中PAD4濃度の上昇により蛋白のシトルリン化が亢進し,ACPAの産生要因になっていることが推察された.一方,抗PAD4抗体もACPAと同様にRAで特異的に検出された.RA患者における抗PAD4抗体の病因的意義は不明であるが,増加した血中PAD4より誘導され,PAD4をnegativeに制御している可能性が考えられた.

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