日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P3-002 全身性強皮症患者における抗Fcγ受容体抗体価についての検討
門野 岳史冨田 学浅野 善英佐藤 伸一
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2015 年 38 巻 4 号 p. 324b

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抄録

  全身性強皮症は血管障害と皮膚や内臓の線維化を特徴とする自己免疫疾患である.Fcγ受容体は様々な免疫反応を制御し,人ではFcγRI,FcγRIIA,FcγRIIB,FcγRIIIA,FcγRIIIBなど複数存在する.Fcγ受容体を介するシグナルは免疫を正に制御する場合と負に制御する場合とがあり,一般にFcγRIIBを介するシグナルは免疫反応を抑制し,その他の受容体を介するものは免疫反応を亢進させると考えられている.全身性強皮症では様々な自己抗体が出現するが,今回これらFcγ受容体に対する自己抗体抗体価をELISAにて測定し,臨床症状との相関について検討した.全身性強皮症患者において血清抗FcγRIIB抗体値は健常人や限局性強皮症患者より有意に高値を示した.また,限局皮膚硬化型とびまん皮膚硬化型との間に差はみられなかった.また,爪上皮出血点が見られる例では血清抗FcγRIIB抗体は高値を示し,逆にびまん性色素沈着や石灰化が見られる例では低値を示した.更に,血清抗FcγRI抗体値,血清抗FcγRIIA抗体値,血清抗FcγRIIIB抗体値について検討したところ,何れも全身性強皮症患者において健常人より有意に高値を示した.以上より,全身性強皮症においてはFcγ受容体に対する血清抗体値が全般に高く,これが全身性強皮症におけるimmune dysregulationに関与する可能性が考えられた.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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