2015 年 38 巻 4 号 p. 328a
筆者は整体師や医療従事者養成校,医療系大学で感染症,免疫学を講義している.高校までは免疫学を本格的には習わない(新学習指導要領参照).整体師や医療従事者養成校入学者は基礎科目,特に数学や化学が苦手な学生が多く,まずは生化学や生理学など医療従事者には必須な科目の理解が必要である.そのような中で免疫学を教えるのは至難の技である.また時間も限られた中で最低限の知識を身につける必要がある.今回筆者らは高校まで免疫学を学んでない学生でも,身につけるカリキュラムを開発した.整体師用のカリキュラムでは現場に出ても対応できる知識が身に付いていた.臨床検査技師用のカリキュラムを用いて3年間掛けて,国家試験に合格するように講義したところ,免疫学の正解率が,染色体遺伝子検査学よりも有意に好成績であった.国家試験正解率も日本臨床検査学教育協議会参加校に対してほぼ同じであった.しかし,国家試験合格率は全国平均よりも有意に高かった.以上のことから,今回のカリキュラムは基礎学力が無い学生にも,効果的に免疫学を身につけさせることが出来た.