抄録
【背景】広汎な自律神経障害を呈する自己免疫性自律神経障害において,抗gAChR抗体は,病因の自己抗体と考えられている.また,各種の自己免疫疾患においても自律神経障害を呈する症例が存在することが知られている.【目的】本研究では,自己免疫性肝炎(AIH)における抗gAChR抗体の陽性率及びその抗体の有無とHLA allelesの関係に関して解明する.【方法】長崎医療センターにて集積されたAIH 260症例に関して,抗gAChR抗体測定及びHLA遺伝子型タイピングを行い,同抗体の有無とHLA allelesの関係について検討した.【結果】抗gAChR抗体の陽性率は11.5%であった.HLA-A, B, DQB1においては抗gAChR抗体有無との有意な関係性は認めなかったが,HLA-DRB1*0403においては有意な関係性(P = 0.005, odds ratio 11.031, 95% confidence interval 2.373-51.266)を認めた.【結論】AIH症例においても抗gAChR抗体が潜在することが示された.また,HLA class 2の分子がgAChRに対する自己抗体形成に影響している可能性が示唆された.