2015 年 38 巻 4 号 p. 329b
【背景】関節リウマチ(RA)において,シトルリン化タンパク質(Cit-P)や抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)は疾患の発症や増悪に関与していると考えられるが,その産生機序や役割はいまだ明らかでない.【目的】ペプチドGPI誘導関節炎モデルマウス(pGIA)において,Cit-P発現とその自己抗体産生の関与について検討する.【方法】1)pGIAにおいて,血清中の抗pGPI抗体価,ACPAの測定を行った.2)pGIAにおいて,関節,皮膚の免疫組織化学染色,血清のWestern blotを行い,Cit-Pの検出を試みた.3)PAD inhibitorであるC1-amidineを免疫day0より腹腔内投与し,関節炎やCit-P,ACPA発現の変動について比較検討した.【結果】1)血清中の抗pGPI抗体価,ACPAはcontrol(CFA投与)群と比較すると有意に高値であった.2)pGIAの関節,皮膚,血清ではCit-Pの発現を認めたが,control群では認めなかった.3)C1-amidine投与により,関節炎のclinical scoreは有意に低下した.抗pGPI抗体価,ACPAはcontrol(PBS投与)群と比較して有意な差は認めなかった.関節,皮膚,血清のCit-P発現は減少傾向にあった.【結論】pGIAにおいてCit-P発現増加やACPAの産生亢進が認められた.さらに,PADを抑制することで関節炎の抑制,Cit-Pの発現抑制が認められた.以上の結果から,PADの活性化が関節炎の発症や維持に関与していることが示唆された.