日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P4-006 慢性肉芽腫症モデルマウスにおいてアリストロキア酸誘導性尿細管壊死性腎炎が増悪するメカニズムの解析
竹内 恵美子竹内 康雄
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2015 年 38 巻 4 号 p. 331b

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抄録

  【背景】慢性肉芽腫症(CGD)はNADPH oxydaseの異常による好中球機能不全のため易感染性を示す疾患でとして知られるが,活性酸素種(ROS)産生不全のために過剰炎症が持続することに注目が集まっている.我々はCGDのモデルであるgp91phox−/− mouseに腎毒性物質であるAristolochic acid(AA)を投与すると重度の急性尿細管壊死(ATN)が惹起されることを報告した.ROS産生とATNの発症がどのように関わっているかを明らかにするため,X-CGDと正常C57BL/6(B6)とのキメラを作製し,ATNを誘導した.【方法】X-CGDおよびB6をhostとし,9.5Gy全身放射線投与後B6又はX-CGDの骨髄を移植した.FACSにてCGD to B6, B6 to CGD骨髄完全キメラとなったことを確認後Aristolochic acid 5 mg/kg(BW)を隔日で15回腹腔内投与し,腎臓の病理組織学的評価を行った.【結果と考察】半定量scoringの結果,いずれのキメラマウスも同程度の尿細管壊死を呈したが,間質の細胞浸潤はCGD to B6キメラマウスの方がやや軽度であった.免疫染色の結果,浸潤細胞は主にマクロファージであったが,CD4 T cellの浸潤も有意に増加していた.gp91phox−/−RAG2−/− mouseにAAを投与すると,尿細管上皮の壊死による脱落は認められるが間質への細胞浸潤は見られなくなるため,gp91phox−/−マクロファージによる死細胞除去の遅れや活性化の持続のみならず,獲得免疫を動員することがATNおよび間質性腎炎の成立には重要であると考えられる.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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