日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P4-010 TGF-β3およびIL-10による協調的B細胞制御作用を介した液性免疫制御機構
駒井 俊彦井上 眞璃子岡村 僚久岩崎 由希子森田 薫照屋 周造山本 一彦藤尾 圭志
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2015 年 38 巻 4 号 p. 333b

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抄録

  【背景・目的】全身性エリテマトーデスは免疫寛容破綻と自己抗体産生を主病態とする全身性自己免疫疾患である.IL-10およびTGF-β3を高産生するCD4+CD25-LAG3+制御性T細胞はループス様モデルMRL/lprマウスの病態を改善するが,その詳細な機序は不明なままである.今回我々は,TGF-β3およびIL-10による液性免疫制御機構につき検討した.【方法】MACSで単離したB細胞をToll様受容体(TLR)刺激し,TGF-β,IL-10存在下のB細胞分化と抗体産生を評価した.また,plasmid vector pCAGGS-Tgfb1,-Tgfb3,-Il10をMRL/lprマウス,NP-KLH免疫C57BL/6(B6)マウスに導入し経時的に検討した.【結果】TLR刺激下のB細胞でTGF-βはIgG産生,B細胞分化の亢進を誘導したが,IL-10の同時添加によりTGF-βは抑制性に機能した.pCAGGS-Tgfb3ベクター導入MRL/lprマウスでは,脾腫,蛋白尿の改善,血清抗dsDNA抗体価の低下,糸球体腎炎の組織学的改善を認め,濾胞性ヘルパーT細胞およびB細胞分化が抑制された.NP-KLH免疫B6マウスではpCAGGS-Tgfb3による抗原特異的抗体産生抑制作用の誘導にはpCAGGS-Il10の共導入が必要であった.予測された如く,MRL/lprマウスの血清IL-10濃度はB6マウスに比して高値であった.【結論】我々はTGF-β3およびIL-10が協調的免疫抑制作用を介して液性免疫を制御することを初めて明らかにした.本知見は自己抗体を介する自己免疫疾患の新規治療法開発の可能性を内包している.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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