日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P5-003 制御性T細胞におけるLamtor1の重要な役割
細川 貴司熊ノ郷 淳
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2015 年 38 巻 4 号 p. 340a

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抄録

  制御性T細胞(Treg)は,自己反応性ヘルパーT細胞を抑制するCD4+ T細胞のサブセットである.immunometabolismの領域において,Tregとレチノイン酸,folate receptror,mTORC1(mammalian target of rapamycin)などの関与が報告されている.Lamtor1はLamtor2, 3, 4, 5と共に複合体を形成,リソソームに局在し,mTORC1がリソソーム上で活性化するために必要なRagulatorの核となるタンパク質である.今回,我々はTregの抑制機能におけるLamtor1の重要性につき報告する.まず,Treg特異的Lamtor1ノックアウトマウス(Treg-cKO)を作製した所,Treg-cKOマウスは全身への炎症細胞浸潤により,生後3~4週で全て死亡し,Treg欠損マウスの表現形“scurfy”に類似していた.ただしTregの絶対数はTreg-cKOマウスにおいて増加しており,Lamtor1欠損Tregの機能低下が示唆された.次にT細胞特異的Lamtor1ノックアウトマウスから分離したnTreg(CD4+ CD25high spleoncytes)は,in vitroでsuppression能を欠き,CTLA4やICOSといった免疫抑制能に関わる分子の発現が低下していた.これらの知見より,代謝シグナルタンパク質Lamtor1がTregを介した免疫制御に関与していることが示唆された.
  謝辞 本研究にあたりLamtor1floxマウスを御供与頂きました,大阪大学微生物研究所発癌制御分野 岡田先生及び名田先生に深く感謝いたします.

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