日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P6-002 シェーグレン症候群における口腔内病変と唾液中EGFの関係
東 直人片田 圭宣北野 幸恵西岡 亜紀関口 昌弘北野 将康橋本 尚明松井 聖岩崎 剛佐野 統
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2015 年 38 巻 4 号 p. 343b

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抄録

  【背景と目的】シェーグレン症候群(SS)患者では口腔乾燥症状に加え難治性口内炎などを生じ口腔内の疼痛や不快感によりQOLが低下する.唾液には種々の生理作用がありその障害が病態形成に関連すると考え,唾液中epidermal growth factor(EGF)に注目し,SSの口腔内病変との関連性を検討し,治療介入の可能性を追求した.【方法】(1)対象は口腔内病変,唾液やEGFの分泌,口腔内QOLに影響し得る要因を有する者を除いたSS患者40人と非SS 23人.ガム試験で得た唾液の質量,EGF濃度(ELISA法),Oral Health Impact Profile簡易版(OHIP-14)問診法による口腔内QOLスコアの関連性を検討した.(2)継続診療できたSS 23人,非SS 14人で3年間の変化を評価した.【結果】(1)SS群は非SS群に比べ唾液中EGF量が有意に少なく(9238 vs 13297pg/10分,p = 0.033),罹病期間が長い者,口腔内QOLが悪い者程顕著であった.唾液中EGF量は唾液量と正の相関(rs = 0.824,p = 0.0005),罹病期間,OHIP-14スコアの間に負の相関を認めた(rs = −0484,p = 0.008; rs = −0.721,p = 0.012).(2)SS群では3年間で唾液量に変化はなかったが,口腔内QOLは有意に増悪,唾液中EGF量が有意に低下した(10158 vs 8353pg/10分,p = 0.032).これは非SS群では認めなかった.【結論】SSでは進行に伴い唾液量に加え唾液中EGF量も低下する.この「唾液の質」の低下が口腔内病変の形成に関与することが示唆され,口腔内へのEGF補充が新規治療介入ポイントになり得ると考えられた.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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