日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-010 抗リン脂質抗体陽性血小板減少症における血栓症発症リスク
久田 諒加藤 将中川 育磨坊垣 暁之奥 健志堀田 哲也保田 晋助渥美 達也
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2015 年 38 巻 4 号 p. 352b

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抄録

  【目的】抗リン脂質抗体(aPL)陽性血小板減少症と血栓症発症リスクとの関係を検討する.【方法】2004年1月~2006年12月に北海道大学病院膠原病外来を受診し,aPL(ループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体,抗β2グリコプロテインI抗体,ホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体)を測定した連続670例のうち,全身性エリテマトーデスおよびフォローアップ1年以内の患者を除く337例を抽出した.aPLのプロファイル,血小板減少症(10万/μl以下)の合併,血栓症の有無を後ろ向きに解析した.【結果】aPL陽性群と陰性群では血小板減少症の頻度に有意差は見られなかった(16/138例(12%)vs 19/199例(10%),p = 0.58).aPL陽性者において,血小板減少群は非血小板減少群に比べて血栓症の発症が高率に見られ(11/16例(58%)vs 23/122例(19%),p < 0.001),特に動脈血栓症の発症が多かった(10/16例(63%)vs 18/122例(15%),p < 0.001).動脈血栓症の内訳は,血小板減少群では10例全例が脳梗塞であったのに対し,非血小板減少群では脳梗塞15例(83%),網膜動脈閉塞症2例(11%),心筋梗塞1例(6%)であった.また両群間のaPLプロファイルに有意差を認めなかった.一方aPL陰性者においては,血小板減少群と非血小板減少群で血栓症の発症率に有意差は見られなかった(4/20例(20%)vs 24/179例(13%),p = 0.49).【結論】aPL陽性血小板減少症は血栓症,特に動脈血栓症発症のリスクである.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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