2015 年 38 巻 4 号 p. 354a
【背景】SLEとRAはともに関節の変形を生じうるが,骨破壊の有無などの相違も知られている.【目的】SLEおよびRA患者の関節炎を超音波検査で詳細に検討し,両疾患における滑膜・腱病変の異動を明らかにする.【方法】関節症状を認めたSLE患者13例と,RA患者39例のいずれも新規発症の未治療症例を対象とし,両側手関節,手指関節(MCP,PIP,IP)と伸筋腱,屈筋腱について超音波検査を行った.Gray Scale(GS)とPower Doppler(PD)による関節滑膜および腱・腱鞘滑膜をグレード0~3の半定量法で分類しGS ≥ 2もしくはPD ≥ 1を認めた症例を関節滑膜炎および腱・腱鞘滑膜炎ありと判断した.さらに,関節毎のGS/PDのスコアを計算し病変の特徴を検討した.【結果】SLEでは11例(85%)に関節滑膜炎,12例(92%)に腱・腱鞘滑膜炎を認めた.RAでは37例(95%)に関節滑膜炎,25例(64%)に腱・腱鞘滑膜炎を認めた.関節毎のSLEおよびRAの関節滑膜炎GS+PDスコアはそれぞれ2.2 vs 2.8(p = 0.019)とRAで有意に高かったが,腱・腱鞘滑膜炎GS+PDスコアはそれぞれ1.3 vs 1.0(p = 0.446)とSLEで高いものの有意差はなかった.【結論】SLEとRAにおける関節病変の違いが示唆された.