日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P7-017 厚労省基準特殊型ベーチェット病における国際基準との解離
岳野 光洋出口 治子須田 昭子大野 滋上田 敦久石ヶ坪 良明
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 38 巻 4 号 p. 356a

詳細
抄録

  【目的】ベーチェット病は経過を通じた症状の組み合わせにより診断されるため,しばしば適応基準による診断の不一致が生じる.本研究では厚労省診断基準で診断した症例のISG国際診断基準,IRT-ICBD国際(診断・分類)基準の充足率を検討した.【方法】1991年から2007年に横浜市立大学附属二病院で診療を受け,厚生労働省べーチェット病診断基準を満たす412例(男184例,女228例,36.9±11.9才,日本人409例)を対象にISG基準(1990年,再発性口腔内アフタを必須とし,皮膚症状,陰部潰瘍,眼病変,針反応のうち2つ以上),IRT-ICBD基準(2014年,眼病変,陰部潰瘍,口腔内アフタ各2点,皮膚病変,神経症状,血管症状,針反応各1点,総計4点以上)の充足率を検討した.【結果】全症例のISG基準充足率90%に対し,IRT-ICBD基準は99%であった.ISG基準非充足例は特殊病型(27/111例 = 24%,重複例12例含む),腸管型(13/43例 = 30%),血管型(7/26例 = 27%),神経型(12/54例 = 20%)で,特殊型以外(15/301例 = 5%)より有意に多かった.IRT-ICBD基準非充足の6例はすべて神経型・血管型重複のない腸管型症例であった.【考察・結論】厚労省基準の腸管型は他の病型に比べ,二つの国際基準の非充足例が多い.腸管病変の頻度が高いことは日本患者の人種的な特徴とされるが,他病型との遺伝学的差異も指摘されている.今後,この診断・分類基準不一致例の扱いについて検討する必要がある.

著者関連情報
© 2015 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top