2015 年 38 巻 4 号 p. 370b
【Back ground】炎症性筋疾患群はOlsenとWartmannによる分類が広く受け入れられており,また特異的自己抗体による分類も試みられている.一方で既存の分類では分類困難な非典型例も経験する.【Case】36歳女性,受診4カ月前より関節痛が出現.受診1カ月前より筋力低下が進行し,発熱もみられたため当科初診.CPK 2293,ferrtin 2340.皮疹・間質性肺炎は認めず.SS-A抗体陽性,他の自己抗体陰性.筋電図では筋炎パターン,筋MRIでは筋膜に炎症を認めた.筋生検では筋線維膜上にHLA class I,Class IIの強発現を認め炎症性筋疾患と診断した.ステロイドでの加療を開始したところ,筋力改善,CPK低下を認めたが,高フェリチン血症と微熱は持続し,シクロスポリンを併用して改善した.筋病理を追加染色したところCD68陽性マクロファージの筋膜への浸潤を認めたため,Inflammatory Myopathy with Abundant Macrophages(IMAM)を疑った.【Discussion】IMAMはBassez Gらにより報告された筋・筋膜へのマクロファージの著明な浸潤を認める炎症性筋疾患である.一方で報告されている病像は共通点もあるものの,病理像や重症度には差異があるため,独立した疾患概念であるのか,多発性筋炎/皮膚筋炎のvariantであるのかについては意見が分かれている.治療についても確立されていないが,今回我々はネオーラルの有効性を確認しており今回報告した.