日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P8-016 周期的な発熱・腹痛を主訴としMEFV遺伝子変異を認めた家族性地中海熱の1例
荻田 千愛東 幸太壼井 和幸安部 武生横山 雄一古川 哲也田村 誠朗斉藤 篤史西岡 亜紀関口 昌弘東 直人北野 将康角田 慎一郎松井 聖佐野 統
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 38 巻 4 号 p. 376b

詳細
抄録

  【背景】家族性地中海熱(FMF)とは持続時間が数日と,比較的短い周期性発熱と無菌性の漿膜炎を主徴とする遺伝性の自己炎症性疾患である.地中海沿岸地域で最も有病率が高いのだが,本邦でも症例報告がある.【症例】25歳女性.高校生の時,扁桃腺炎による発熱を認めていた.21歳頃に扁桃腺摘出し,その後1年間は発熱を認めなかったが,23歳頃から39℃以上の発熱が1ヶ月に1度の頻度で起こり,同時期にリンパ節腫脹も認めた.周期的に症状が出現する為,抗生剤,NSAIDs処方による対処療法を行っていた.H25年10月25日より腹痛が出現するも,下部内視鏡検査では炎症性腸疾患,腫瘍性病変は否定的であった.以降も周期的な発熱やリンパ節腫脹の出現が続き,精査より感染症,膠原病も否定的である事から,自己炎症症候群疑いでH26年3月19日に当科紹介受診となった.MEFV遺伝子解析結果が出るまで,通院にて治療並びにコルヒチンの効果判定目的で1 mg/日で投与を開始するも,その間も周期熱,腹痛は認めていた.解析よりMEFV遺伝子exon10(M694I)の変異を認めた事からFMFと診断,コルヒチン3 mg/日に増量とした.以降発熱,腹痛は軽減している.【考察】MEFV遺伝子異常を検出し,コルヒチンにて寛解を得たFMFの1例を経験した.本邦は地中海沿岸に比べ極めて発症例が少ないが,原因不明の発熱と腹痛を繰り返す患者において,FMFは感染症,自己免疫疾患と鑑別すべき重要な疾患の1つであると考えられる.

著者関連情報
© 2015 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top