2015 年 38 巻 4 号 p. 379b
【症例】27歳の女性【主訴】嗄声と咽頭痛【現病歴】約1年前から嗄声と咽頭痛とを自覚していた.耳鼻咽喉科を受診し,喉頭ファイバースコピーで竹節状声帯を指摘された.血液検査で抗核抗体が陽性であったため基礎疾患として膠原病が疑われ,プレドニゾロン30 mgを開始されたが改善を認めず,当科を紹介受診し,精査のため入院した.【入院後経過】入院時の検査で抗核抗体1280倍,リウマトイド因子,抗SS-A抗体および抗SS-B抗体が陽性であり,Sjogren症候群が疑われた.ガムテストおよびシルマーテストは陰性,口唇腺生検では軽度のリンパ球浸潤を認め,診断基準は満たさなかったが,プレドニゾロン投与により唾液腺炎が改善した可能性を考え,臨床的にSjogren症候群を疑った.【考察】竹節状声帯は1993年に本邦から寶迫らが全身性エリテマトーデス(SLE)患者に認められた特異な喉頭所見として初めて報告した.SLEなどの自己免疫性疾患に合併する病変として複数の報告があるが,病態は不明で確立された治療法はない.自己免疫性疾患に伴う特徴的な声帯病変である竹節状声帯では,嗄声が唯一の初発症状のこともあり,原因として自己免疫性疾患の存在を念頭に置くことが重要であると考える.【結語】Sjogren症候群が疑われた竹節状声帯の一例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.