日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P8-023 抗ARS症候群に血球貪食症候群(HPS)が合併した1例
東 幸太安部 武生横山 雄一荻田 千愛古川 哲也田村 誠朗斎藤 篤史西岡 亜紀壺井 和幸吉川 卓宏関口 昌弘東 直人北野 将康角田 慎一郎松井 聖佐野 統
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2015 年 38 巻 4 号 p. 380a

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抄録

  【症例】48歳,女性,主訴は発熱,全身倦怠感.2013年12月から38℃の発熱が出現し近医受診.間質性肺炎を指摘されるも経過観察となっていた.2014年1月に手指の皮疹,末梢血流障害が出現.成人Still病疑いと診断され,ベタメタゾン0.5mg+シクロスポリン75mgでコントロールされていた.2014年11月に発熱,頭痛などの症状出現.頭部MRIで下垂体腫大認め,抗下垂体抗体陽性も認めた為自己免疫性下垂体炎と診断.当院での治療を希望されたため2015年5月当院内分泌科入院となったが,活動性は乏しく無治療経過観察となった.間質性肺炎(IP)・レイノー症状などの症状あることから膠原病疑われ,精査加療目的に当科転科となった.成人Still病は診断基準を満たすものではなく,現在の病態を正確に把握するため,ベタメタゾン,シクロスポリンは中止とした.血液検査は抗ARS抗体陽性,筋原酵素上昇を認めた.IPを伴う抗ARS症候群と診断し,mPSL 500mg × 3日間投与し,後療法はPSL 35mg/dayで開始とした.その後症状は治まっていたが,3日後に再度熱発・筋痛が出現し汎血球減少も伴った.骨髄穿刺で貪食像を認めたため,HPSと考え再度mPSL 500mg × 3日間投与.またシクロスポリン中止が症状増悪に起因すると考え125mgで再開.その後は熱発・筋痛は消失し再燃を認めていない.抗ARS症候群のHPS合併例は11例しか報告がなく,文献的考察も交えて報告する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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