日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P8-025 間質性肺炎と関節炎を合併した抗CCP抗体と抗SS-A抗体陽性の抗ARS抗体症候群の1例
國下 洋輔長田 侑井畑 淳長岡 章平
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2015 年 38 巻 4 号 p. 381a

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抄録

  【症例】43歳,女性【主訴】多関節痛,労作時の息切れ【病歴】小児期よりアトピー性皮膚炎で外用剤を使用していた.X-5年秋より乾性咳嗽が出現し,X-3年5月にCTで間質影を認め,抗ARS抗体陽性を指摘.X-2年1月に胸腔鏡下肺生検でfibrotic NSIPと診断された.X年1月より,労作時の息切れが出現し,手指の乾燥・あかぎれが増悪し,3月上旬より,朝のこわばりと手関節痛が出現.抗CCP抗体陽性を指摘され,当科へ紹介された.【経過】抗ARS高値陽性,抗CCP抗体陽性,抗SS-A抗体陽性で,活動性の間質性肺炎に加え,関節エコーで滑膜炎があり,小唾液腺生検で導管周囲のリンパ球浸潤も認め,関節リウマチとシェーグレン症候群の分類基準を満たした.アトピー性皮膚炎の既往があり,肉眼的な診断に苦慮したが,皮膚生検の病理所見でmechanic's handに矛盾しない所見もあり,抗ARS抗体症候群としても矛盾しないと考えられた.【考察】近年,本邦で抗ARS抗体測定が保険適応となり,従来の多発性筋炎や皮膚筋炎といった分類とは異なる概念として,抗ARS抗体症候群という疾患群が提唱され,抗ARS抗体,抗CCP抗体がともに陽性で関節炎を伴った症例が報告されている.抗ARS抗体のプロファイルにより,症状や予後が異なる可能性があり,今後,解析が必要ではあるが,現時点における抗ARS抗体と抗CCP抗体・関節炎や皮膚所見について文献的検索をふまえ,考察する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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