抄録
多発性硬化症(MS)は,中枢神経系のオリゴデンドロサイトを標的とする自己免疫疾患と考えられているが,病態の多様性に基づき第1選択薬interferon(IFN)-βに対する相当数のノンレスポンダーが存在する.一方,標的抗原がアストロサイトのアクアポリン4(AQP4)であることが判明し,MSより分離された視神経脊髄炎(NMO)は,IFN-β投与により顕著に悪化する.NMOでは,末梢由来プラズマブラスト(PB)が中枢神経系に浸潤し,IL-6依存性に抗AQP4抗体を産生して炎症を惹起することが示されている.そこで,MSにおけるIFN-βノンレスポンダーも抗原特異性は異なるが,同様の病態構造を有する可能性を疑った.実際に,MSでは,末梢血PB増加(PB-high)群にIFN-βノンレスポンダーが集積しており,これらのPBはin vitroにおいてIL-6依存性を示した.臨床所見からは,自己抗体の介在による進行性亜群であることが示唆された.私達は,MSにおけるプレシジョン医療を目指して,PB-high群に抗IL-6受容体抗体tozcilizumabの投与を試みている.