日本臨床免疫学会会誌
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38 巻, 5 号
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訂正記事
  • 2015 年 38 巻 5 号 p. 389
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
    奥 健志,オルガアメングアル,久田 諒,大村一将,中川育麿,渡邊俊之,坊垣暁之,堀田哲也,保田晋助,渥美達也:完全自動化測定器による抗リン脂質抗体測定の意義.
    日本臨床免疫学会会誌.38(3): 157−163, 2015.

    下記のとおり追記訂正いたします。

    利益相反
    当該論文はアイ・エル・ジャパン株式会社からの委託研究の結果である。

    日本臨床免疫学会会誌編集員会
特集:B細胞と自己免疫
  • 宮垣 朝光
    2015 年 38 巻 5 号 p. 390-397
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      元来,B細胞は抗体産生能,抗原提示能,サイトカイン産生や副分子を介したT細胞活性化能などを有し,免疫を促進すると考えられてきた.そして,そのようなB細胞の異常は自己免疫疾患の発症に深く関与していることが知られている.しかし,近年,さまざまな自己免疫疾患のマウスモデルにて,B細胞の中には免疫応答を抑制する一群が存在することが明らかになった.このようなB細胞は制御性B細胞と呼ばれており,マウスの免疫機構において,重要な働きをしていると考えられている.マウス制御性B細胞には複数のタイプが存在することが分かっているが,このうち最も広く研究されているのがIL-10産生制御性B細胞である.IL-10産生制御性B細胞はさまざまな自己免疫疾患マウスモデルで,その発症抑制に関わっていることが報告されている.このようなマウス制御性B細胞の研究を受け,ヒト制御性B細胞の研究も盛んになってきている.ヒトにおいてもIL-10産生制御性B細胞が最も注目されており,さまざまな自己免疫疾患患者の検体を用いた報告が相次いでいる.本稿では,自己免疫疾患におけるヒト制御性B細胞につき,現在までの知見を概説する.
  • 岩田 慈, 田中 良哉
    2015 年 38 巻 5 号 p. 398-402
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      自己免疫疾患病態においてB細胞は病態形成に極めて重要な役割を担うが,その機能発現にはT細胞との相互作用が極めて重要である.著者らは,ヒト末梢血B細胞を用いたin vitro実験により,BCR/CD40/TLR/サイトカイン(IL-4, IL-21)刺激は,Syk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを介したシグナルの活性化により,サイトカイン産生,分化誘導・クラススイッチに重要なgene network,抗体産生などを多様に制御していることを明らかにした.またRA,SLE患者末梢血B細胞のSyk, Btkのリン酸化は,健常人に比し有意に亢進しており,特にRA患者においては,ACPA強陽性例において有意に亢進していた.T細胞選択的共刺激調節剤,CTLA-Igアバタセプトの投与により,RA患者末梢血CD4陽性T細胞中のTfhの割合は有意に減少し,さらにB細胞のSykのリン酸化も有意に抑制された.これらの結果より,B細胞,B-T細胞の相互作用を標的とした生物学的製剤,さらにSyk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを標的とした阻害剤は自己免疫疾患の制御に有用である可能性が示唆された.本編では,RAやSLEを中心に,B細胞,B-T細胞相互作用を標的とした生物学的製剤やSyk, Btk, JAK阻害剤の最近の知見についても概説する.
  • 中村 雅一, 荒木 学, 山村 隆
    2015 年 38 巻 5 号 p. 403-411
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      多発性硬化症(MS)は,中枢神経系のオリゴデンドロサイトを標的とする自己免疫疾患と考えられているが,病態の多様性に基づき第1選択薬interferon(IFN)-βに対する相当数のノンレスポンダーが存在する.一方,標的抗原がアストロサイトのアクアポリン4(AQP4)であることが判明し,MSより分離された視神経脊髄炎(NMO)は,IFN-β投与により顕著に悪化する.NMOでは,末梢由来プラズマブラスト(PB)が中枢神経系に浸潤し,IL-6依存性に抗AQP4抗体を産生して炎症を惹起することが示されている.そこで,MSにおけるIFN-βノンレスポンダーも抗原特異性は異なるが,同様の病態構造を有する可能性を疑った.実際に,MSでは,末梢血PB増加(PB-high)群にIFN-βノンレスポンダーが集積しており,これらのPBはin vitroにおいてIL-6依存性を示した.臨床所見からは,自己抗体の介在による進行性亜群であることが示唆された.私達は,MSにおけるプレシジョン医療を目指して,PB-high群に抗IL-6受容体抗体tozcilizumabの投与を試みている.
  • 新納 宏昭
    2015 年 38 巻 5 号 p. 412-420
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患の病態におけるB細胞の重要性は,近年のB細胞標的療法の臨床効果によって再認識された.ただここで着目すべき点として,B細胞は,抗体産生のみならず,抗原提示,共刺激,サイトカイン産生などといった抗体非依存性の多彩なエフェクター機能を営んでいることが判明した.また,エフェクターB細胞とは異なった制御性B細胞の存在も近年明らかとなり,自己免疫疾患の病態におけるB細胞の役割は,我々が予想していた以上にきわめて複雑なものと思われる.自己反応性B細胞は,分化過程での複数のメカニズムを介して自己寛容となるが,それが破綻してエフェクター機能を発動することにより自己免疫疾患は発症する.ヒトB細胞には表面マーカーに基づいて複数のサブセットが存在するが,本疾患では特定のサブセット中にエフェクターB細胞が豊富に存在する.自己免疫疾患に対して様々なB細胞標的療法が開発されつつあるが,リスクベネフィットを考慮すると,無差別的な殺B細胞療法ではなく,エフェクターB細胞に対する選択的制御療法が今後の治療戦略として期待される.
症例報告
  • 久保 誠, 内田 耕資, 中島 忠亮, 小田 聖子, 中邑 友美, 橋本 真一, 綿田 敏子, 中村 浩士, 荒木 潤, 松﨑 益德, 矢野 ...
    2015 年 38 巻 5 号 p. 421-425
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      症例は62歳男性.42歳時にSjögren症候群と診断され,更に57歳時には自己免疫性肝炎を合併し,以後ステロイド内服治療を受けていた.2008年11月より下痢と下肢の浮腫の精査のため当科に紹介され,同年12月より急速に血小板減少が進行したため2009年1月9日に入院した.入院時著明な低アルブミン血症とCRP高値,PA-IgG高値を認め,骨髄穿刺所見より自己免疫性血小板減少性紫斑病(autoimmune thrombocytopenic purpura:AITP),また99mTcヒト血清アルブミンシンチでの回腸からの蛋白漏出所見より蛋白漏出性胃腸症(PLE)と診断した.過去にLE細胞,抗ds-DNA抗体陽性が指摘されており,SLEが基礎疾患と考えられた.ステロイドパルス,大量ガンマグロブリン療法は無効で,リツキシマブ投与によりAITPのみ改善した.一方,PLEはリツキシマブにもシクロスポリン,シクロフォスファミドにも反応が乏しかったが,オクトレオチドの200μg連日皮下投与及び中鎖脂肪酸(MCT)調理油を用いた低脂肪食療法を開始したところ著明に改善した.SLEに伴ったPLEの難治症例に対してオクトレオチド皮下投与および中鎖脂肪酸食が有効な治療手段となる可能性が示唆された.
  • 神谷 麻理, 副島 誠, 岩井 秀之, 宮坂 信之, 上阪 等
    2015 年 38 巻 5 号 p. 426-431
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/04
    ジャーナル フリー
      症例は59歳男性.幼小児期より気道感染症や下痢を反復し,間欠的な発熱および慢性的な炎症反応高値を認めていた.不明熱の精査および治療のため当院に入院となった.血液検査にて血清IgM高値(737 mg/dl),IgG低値(537 mg/dl),IgA, IgE測定感度以下,特異抗体産生不全を認め,反復する気道と消化管の感染症のエピソードから,原発性免疫不全症のひとつである高IgM症候群と診断した.過去にアテローム性動脈硬化症に伴う胸腹部大動脈瘤に対して大動脈置換術を2回施行されており,蛋白尿,腎機能低下の精査目的で行った腎生検では腎硬化症と診断されていた.入院経過中に,反復する脳出血,肺胞出血を認めたが,出血時間,凝固検査に明らかな異常を認めず,抗核抗体,抗好中球細胞質抗体,抗カルジオリピン抗体は陰性であった.免疫不全症を基礎疾患として,動脈硬化,反復する出血性病態をきたした症例として,ここに報告する.
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