日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
シンポジウム
シンポジウム2-3 自己免疫疾患における免疫細胞の統合的解析の試み
藤尾 圭志竹島 雄介太田 峰人石垣 和慶土田 優美土屋 遥香住友 秀次岩崎 由希子岡村 僚久永渕 泰雄庄田 宏文鈴木 亜香里高地 雄太山本 一彦
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 4 号 p. 294

詳細
抄録

  自己免疫疾患では免疫寛容の破綻が認められ,患者のリンパ球には細胞数,細胞機能,遺伝子発現など様々なレベルの異常が報告されている.これらの異常の中で病態の本質にかかわるものを同定することは,疾患の層別化,予後予測,新規治療の開発において非常に重要である.近年のフローサイトメーターや次世代シークエンス(NGS)などの技術的進歩により,ヒトリンパ球の大規模データの回収による詳細な解析が可能となってきている.我々はリンパ球のマルチカラー解析を行うとともに,ソーティングにより回収した各リンパ球サブセットのNGSによる発現解析を行い,遺伝子多型と組み合わせることで,自己免疫疾患を特徴づける免疫ネットワークの解析を試みている.この解析は(1)健常人のリンパ球サブセット毎の遺伝子発現と遺伝子多型の関連の解析と,(2)自己免疫疾患患者のリンパ球サブセット毎の遺伝子発現と遺伝子多型の関連の解析から成る.これまでにSLEやRAにおいて,Weighted correlation network analysis(WGCNA)などの新しい解析手法を用いて,変動のある発現遺伝子を同定し,SLEとRAで逆の方向性を示すものも認めている.それらの遺伝子の上流シグナルを解析することで,各リンパ球サブセット毎の免疫経路の亢進または減弱の評価が可能である.本発表では,そのようなアプローチの現状と今後の展望について報告及び考察を行いたい.

著者関連情報
© 2016 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top