2016 年 39 巻 4 号 p. 293
近年のゲノム解析技術の発展とそれに伴うデータベースの充実により,家族性疾患の原因遺伝子変異を同定することは比較的容易になってきた.しかし,一家系しか存在しないような極めて稀な疾患の場合には,見いだされた変異が疾患発症に関与しているかという点について,厳密な機能解析研究が必要になる.我々はこれまで,稀少遺伝性免疫疾患のゲノム解析研究から,数種類の自己炎症性疾患および自己免疫疾患の原因変異を見いだしてきた.本シンポジウムでは,それらの遺伝性免疫疾患のゲノム解析の実際と,主として遺伝子改変マウスを用いた機能解析の例を提示することで,本シンポジウムの主題である「Human Immunologyへの新技術」としてのゲノム解析研究とその問題点について議論したい.