日本臨床免疫学会会誌
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専門スタディー2-2 マクロファージ・樹状細胞 マクロファージ・樹状細胞の起源・分化と機能の多様性
小内 伸幸
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2016 年 39 巻 4 号 p. 320

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抄録

  単球,マクロファージ及び樹状細胞は単核貪食細胞に属し,病原性微生物への免疫反応のみならず組織発生や代謝など生体恒常性維持に中心的な役割を担っている.これらの単核貪食細胞は免疫表現型や機能が重複するため,その分化起源や生体反応における役割,重要性は長い間議論されてきた.近年,分化誘導システムの樹立,各前駆細胞の同定,多重染色による細胞表面マーカー解析,遺伝子改変マウスを用いた解析,さらに細胞系譜解析から単核貪食細胞の分化起源及び維持機構が明らかになってきた.従来の説では,組織内マクロファージは生体骨髄の血液単球由来であると提唱されていたが,最新の研究成果では定常状態における組織内マクロファージの多くは胎生期幹細胞・前駆細胞由来であり,単球の寄与は少ないことが明らかになった.こうした中,我々のグループは世界に先駆けて樹状細胞のみに分化する共通樹状細胞前駆細胞(common dendritic cell progenitor: CDP)を同定した.この発見は樹状細胞と単球では分化起源が異なることを示唆している.また,ヒト単核貪食細胞の前駆細胞も同定されている.そこで今回の専門スタディではマウス及びヒトの樹状細胞,単球,マクロファージの起源とその分化維持機構について概説する.さらに分化起源,機能,局在,免疫表現型をもとにした新しい統一名称について紹介する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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