2016 年 39 巻 4 号 p. 340
セマフォリンファミリーは,1990年初頭に発生過程における神経ガイダンス因子として同定されてきた分子群であるが,今ではその機能は神経系にとどまらず心臓,血管,免疫調節など多岐にわたることが明らかにされている.
我々の研究グループは2000年に免疫細胞で発現するセマフォリンSema4Dの研究を通じてセマフォリンが免疫系において重要な役割を果たしていることを明らかにした.その後も次々と免疫で働くセマフォリンが発見され,免疫・炎症反応におけるセマフォリンの重要性が広く認識されるようになるとともに,現在免疫系において機能するセマフォリン分子群は「免疫セマフォリン分子群:immune semaphorins」の名称でも呼ばれている.
免疫分野での一連の研究に触発され,アトピー性皮膚炎,喘息などのアレルギー疾患,関節リウマチ等の自己免疫疾患,多発性硬化症,骨粗鬆症,網膜色素変性症,心臓の突然死の原因,癌の転移・浸潤など,セマフォリン分子群が「ヒトの疾患の鍵分子」であることが国内外の研究グループから相次いで報告され,疾患治療の新しい創薬ターゲットとしても注目を集めている.今回のセミナーではこのようなセマフォリンの免疫疾患への関与を中心に紹介するとともに,その中で明らかとなってきた免疫代謝の病的意義についても紹介したい.