日本臨床免疫学会会誌
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WS2-3 免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される多彩な自己免疫反応性副作用~皮膚から神経まで~
沖山 奈緒子
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2016 年 39 巻 4 号 p. 350a

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抄録

  免疫チェックポイント阻害剤の登場後,当科ではニボルマブを悪性黒色腫22例に投与,3例がイピリブマブへ移行した.免疫性副反応は10例で認められた.そのうちニボルマブによる甲状腺炎2例,下垂体性副腎機能低下症1例,急性多発神経根障害1例,乾癬2例の症例を供覧する.症例1:69歳女,既往に橋本病.3クール施行後に甲状腺機能低下が顕在化,エコーにて破壊性甲状腺炎あり,甲状腺ホルモン補充療法を要した.症例2:80歳男.4クール施行後に甲状腺機能亢進症発症.症例3:72歳男.IFN-β局注療法と併用して7クール施行後にACTHとコルチゾールの著明な低下を認め,コルチゾール補充療法を要した.症例4:85歳女.2クール施行後に四肢感覚障害,筋力低下が発症,頸椎MRIで神経根異常増強効果あり,腓腹神経生検では,有髄線維脱落,リンパ球の神経束内浸潤を認めた.大量γグロブリン点滴療法,PSL 40mg内服にて加療.症例5:77歳男.IFN-β局注療法後に11クール施行後,全身に乾癬様皮疹が多発,レチノイド内服にて加療.症例6:67歳女,既往に関節症性乾癬.1クール施行後,乾癬の著明増悪あり,レチノイド・PSL 5 mg内服にて加療.ニボルマブ投与前後で血清サイトカインを測定したところ,乾癬が発症・増悪した症例5・6では血清IL-6値が上昇する特徴が見られた.

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