2016 年 39 巻 4 号 p. 358
サイトカインは免疫関連細胞の主要なコミュニケーションツールとして,細胞間ネットワークの構築と維持に重要な役割を果たしている.そして,これらのサイトカインあるいはその受容体を標的とした生物学的製剤の開発がこれまでにない速さで進められている.現在の用法・用量での寛解導入率は,いずれの分子標的治療を早期から用いても,例えば関節リウマチなら50%程度にとどまる.しかし,サイトカイン発現における疾患や同一疾患の各患者に見られる多様性に合致した治療を行うことにより,治療成績は既存の治療薬でもさらに向上する可能性が示唆されている.その鍵となるのは,治療開始前の標的分子発現量の測定,および治療開始後の治療薬血中濃度のモンタリングである.前者はあくまでも事前予測であり,投与量決定の参考になるが,投与量の決定には体重など他の要因も考慮する必要がある.一方,後者は実際に得られた結果であり,用法や用量の調節に決定的なデータとなるため臨床的意義が大きい.以上のような臨床免疫学的・臨床薬理学的検討を,新薬開発の早い段階で十分に行うことが,より有用性の高い製剤開発につながると考えられる.